第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
「…孤爪研磨。同じ音駒の2年」
記憶を整理している間に同じように自己紹介され、
美月は一瞬研磨の言葉をそのまま飲み込むが・・・
「2年…えっ、2年生…!?私てっきり同い年かと…」
「いいよ、よく間違えられるから。敬語とかも、いらない」
社交辞令でもなんでもなく、研磨は本当に敬語を嫌っている様子だった。
そのため美月は「分かった」と小さく了解する。
それからもう1つ。彼女はその胸をざわつかせる疑惑について
彼らに問う必要があった。
「あの、もしかしてお二人は、
烏野のバレー部と練習試合を控えていたり…」
「するよ」
全て言い切る前に、はっきりと告げられた。
笑みを湛えながら黒尾が続ける。
「その感じからすると、君は烏野のマネージャー?
こんなところで会うなんて奇遇だなぁ」
彼の繰り出す笑顔はにこやかなようで奥底が知れない。
美月は思わず研磨のジャージの裾を掴む。