第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
美月と彼がいる道の奥から、そう声がかかる。
近寄ってきた人影に、彼は「あ、クロ」と反応を示した。
知り合いかな?とクロと呼ばれた人影を見やると
その人影はどんどん大きくなっていく。
(お、おっきい!)
見知らぬ高身長の登場に、
美月は金髪の彼の後ろへ隠れた。
「研磨お前、もう歩きスマホやめろよなぁ。
こっち来て迷子2回目だぞ…
って、お?また誰かに拾われてたのか」
『金髪の彼』、改め研磨の後ろに隠れる美月を、クロと呼ばれた男がのぞき込む。
「…さっき角でぶつかったんだ」
更に身を縮めた美月に、研磨が代わって説明してくれた。
ふーん、と答えつつクロは美月から視線を外さない。
(これはさすがに自己紹介の流れ…?)
おずおずと研磨の背中から顔を出し頭を下げる。
「河北、美月…です。烏野高校1年です」
すると何故か研磨とクロは顔を見合わせた。
戸惑う美月にクロが目線を戻す。
「烏野高校、ね。俺は黒尾鉄朗。音駒高校3年」
自己紹介を返され、美月は聞き覚えのある学校名に胸をざわつかせた。
(ネコマ…?って、え?)