第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
(練習試合…なんのスポーツだろ?)
当ててみせようと美月が考え込んでいるのを、
彼は見つめる。
視線に気づいた美月が彼に目を向けると、
すぐに顔を背けられてしまった。
顔を背けた彼が目を落としたのは、大事そうに持っていたスマホの画面。
画面にはゲームのようなものが映っていた。
「そのゲーム、好きなの?」
「別に…これは暇つぶし」
そう言いつつも、画面の上を走る指は物凄い速さで、慣れたものだった。
美月はその神がかった指使いにまたも目を輝かせる。
自分の指先に視線が降り注がれている。
そんな状況に耐え兼ね、
彼は美月の様子を窺いながら言葉をつむぐ。
「…これ、やってみる?」
「え、いいのっ?」
今度は自分に対しきらきらとした目を向けられ、
彼はパッと目線を落とした。
スマホを受け取り、教わりながらゲームを始める。
「ここを、こう?これで合ってる?」
「うん、大丈夫」
「わっ!む、難しいね!?」
「すぐ慣れるよ」
言葉は少ないけれど、的確な彼のアドバイスで
段々と要領を掴んでいく。
夢中になって2人で1つのスマホをのぞき込み、
少し時間が経った頃。
「おい研磨―っ!お前こんなとこにいたのか!」