第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
赤いジャージに、金髪頭のその男子はこの辺では見ない顔だ。
美月に見つめられ、相手の男子は怪訝な顔をする。
「え、と。赤いジャージってこの辺で見ないから!
どこの学校なのかなって思って!」
変な人に思われないよう、慌てて説明した。
すると彼はふいっと顔をそらして
「…東京」
小さな声で答えてくれた。
「東京…!あの東京!?私っ、行ったことない!」
きらきらとした瞳で見つめられ、彼は怯えたように肩を揺らす。
普段は自分が男子に怯えることの多い美月は、
そんな彼の態度に親近感を抱いた。
思わず『東京』に興奮してしまったが、彼を怖がらせないよう
前のめりになっていた姿勢を正す。
「東京って人が多すぎて歩くのも大変なんでしょう?行ってみたいな!
東京からここにはどうして来たの?」
美月が優しく問いかけると、彼は目をそらしながらも
「…練習試合で」
と、また小さな声で答えてくれた。