第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
マネージャー業務に戻らなければ!と気合を入れ直していると、
烏養が近づいてくる。
「大事にならなくて済んでよかったな」
「監督!ありがとうございます」
烏養に対しても改めて頭を下げた。
すると、烏養は手で口元を隠しながら美月に耳打ちする。
「実はな、お前が保健室行ってからどーも全員練習に身が入んなくてよー。
早めに戻ってきてもらって助かったわ。大事にされてんな、お前」
そう言うと、烏養はニッと笑って部員の元へ戻っていった。
残された美月は胸がきゅーっとなるのを感じて立ち尽くす。
(私、大事にされてるんだ…)
烏養の言葉で認識させられた美月は、ジャージの胸元をギュッと掴んだ。
(まだ入部したばかりの私だけど、
ちょっとは皆の仲間になれてるって、思っていいのかな)
目の前で練習に励む部員たちを見つめながら、
美月は一人、胸をいっぱいにしていた。