第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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合宿4日目。
練習の休憩時間になると、美月は積極的に部員に声を掛けていく。
「お疲れ様ですっ!ドリンクどうぞ!」
よく動く美月を見て、菅原は感心していた。
「働き者だなぁ美月ちゃん。また大地が焚き付けたの?」
「してねーっつの!根が真面目で世話好きな子なんだよ」
からかわれて居心地悪そうな澤村に、菅原は思わず笑ってしまう。
すぐに練習再開のホイッスルが鳴り響き、部員は持ち場に戻った。
(皆、今日は特に気合が入ってる。明日は大事な音駒との試合だもんね)
美月はスパイク練習で飛んできたボールを拾いながら、
部員の真剣な眼差しに目を奪われていた。
そんなボーっとした状態だったからだろうか。
「危ねぇっ!!!!」
誰かのそんな叫びが聞こえて振り返ろうとした時、
後頭部に重い痛みが襲った。
(あ、れ…?)
何が起きたのか、判断することもできないうちに
美月は意識を手放した。