第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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「はい、どーぞ」
美月の思いついた『良いこと』とは、
食堂でホットミルクを飲むことだった。
冷蔵庫の中のものは朝食や夕食という決まった時にしか使っていないが、
部員のためのものなのだから少し飲むくらいなら…と判断したのである。
ストックされている牛乳を電子レンジで温め、はちみつを少量加えたホットミルク。
影山の向かいの席に座りながら、2人分のホットミルクをテーブルに置いた。
「いただきます」と行儀よく言ってから影山は口をつける。
一口飲んで「うまい」という声が出たので、美月は嬉しくて頬を緩めた。
「いつも牛乳ばっかり飲んでるよね。やっぱり身長とか気にしてるの?」
「まぁ、バレーやる分には背高くて困ることないし」
気取った様子もなくそう答える影山。
(影山くんの頭の中は、バレーだらけだ…)
影山は美月にじっと見つめられていることに気付き、マグカップをテーブルに置く。
「なんだよ」
「あ、ごめん不躾に見ちゃって…。ちょっとね、嬉しかったの…」