第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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合宿三日目、朝。
食堂で皆が起きてくるのを待つ美月は落ち着きがない。
昨日あんなことがあった後で、澤村とどんな顔をして会えばいいのか分からなかった。
「おはよー美月っ!」
「あっ、おはよう日向っ」
「先輩たち追い抜かすなよ日向ボゲェッ!」
「はぁ!?影山も抜かしてるじゃんっ」
一番乗りの日向に次いで、続々と部員が現れる。
「皆さん!昨日は付き添いお願いしたのに、
結局先に部屋に戻ってしまってすみません…」
2年が食堂へまとまって入ってきたので、美月は駆け寄って頭を下げた。
「あー気にすんな。俺ら無理やり付き添い申し出たし。それに…、な」
田中は苦笑いを浮かべ縁下に目配せする。
「…うん。澤村さんのあの雰囲気には歯向かっちゃいけない」
優しい澤村しか知らない美月は、2年の怯えた様子に首を傾げた。
「なに?俺の話?」
後ろからの声に2年はびくっと肩を揺らす。ついでに美月も。
美月の前で壁になっていた2年が「なんでもありませーんっ」と席に逃げると、
目の前に3年組が姿を現した。
「部長として風紀の乱れを取り締まろうとしただけなんだがなー…
おはよ、美月」
「おっ、おはっ、おはようございますっ」
ボロボロの挨拶をする美月。澤村はポカンとなる。
一生懸命頭を下げる様子に、ははっと困ったように笑いかけた。
「おはよ」と返して澤村が横を通り過ぎると、
美月はやっと緊張を解くことが出来た。