第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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「送って頂きありがとうございました。おやすみなさい」
部屋の前に着き、美月は澤村に頭を下げた。
「あぁ、おやすみ。あとさ…」
少し言いよどむ澤村に美月は首を傾げる。
「その格好であんま出歩くなよ?…かわいいから」
ぎゅっ、と胸が詰まる。
美月は澤村を見つめて動けなくなった。
「じゃ、おやすみ」と改めて言うと、澤村は大広間へと戻っていった。
取り残された美月はなんとか部屋の戸を開け、敷いていた布団の上に座り込む。
(かわいい…私が?かわいいって言ったの…?)
美月は頭の中で繰り返される澤村の言葉をかき消すため、
頭まですっぽり布団にくるまって羊を数えた。