第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
「なに、企んでた?」
震えあがる1、2年組。
彼らの目には澤村の後ろにどす黒いオーラが見えた。
怯えた1、2年の後ろでガラッと扉が開く。
「お待たせしましたーっ」
勢いよく飛び出して来た美月にその場にいた全員が目を奪われた。
濡れた髪は上気した頬に張りつき、彼女の周りには湯気がたっている。
そして1、2年が待ち望んでいたパジャマ姿。
ボタンで前を留めるザ・パジャマというに近い形のもので、
半袖の袖口はふわっとしたシフォンになっていた。
下は長ズボンでちょこんと出た足が子供っぽさを増長する。
いつの間にか3年がいることに驚きつつ、
皆の視線が自分に注がれていることに戸惑う。
「えっと…?」
事態の把握に困った美月は澤村に助けを求めた。
美月に見つめられて澤村はやっと我に返り口を開く。
「…っと。風呂あがったんなら部屋まで送るよ」
「えっ、澤村さんが?」
驚く美月をエスコートし、廊下の面々に背を向けた澤村。
「あの、大地さ」
「お前らは、部屋帰れ?」
1、2年に向けられた澤村の笑顔は彼らに有無を言わせぬものだった。
廊下に残された部員たちは、一度振り返りペコッと頭を下げた美月を
ただただ呆然と見送った。