第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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重い足取りで美月は大広間の前まで到達した。
さて、ここからどう広間の日向を呼びだすか。
様々なパターンを考え、最も自然な挨拶の仕方をひねり出す。
「そんな唸って、頭でも痛ぇのか?」
横から声をかけられ顔を向けると、その人と美月はほとんど同じ高さで目線が合う。
「西谷先輩!」
西谷は心配そうに美月の顔色をうかがっていた。
「あっ、体調とかは大丈夫です!ちょっと、日向に用があって」
「翔陽?あいつならさっき便所行ったばっかだぞ?」
「あ、そうなんですね…」
目に見えてしょんぼりする美月。
うーんと西谷は天井を仰ぐ。
少しして、何かひらめいたように左の手のひらに拳を落とした。
「ここで待っててもしょうがねーし、とりあえず中入れ!」
(中…?)
ぼやっとしている間に西谷は美月の腕を掴み、
大広間の戸を開け放った。
「おーいっマネージャー来たぞーっ」