第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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合宿二日目、夜。
この時間、昨夜であれば美月はまだ食堂で朝食の準備をしていた。
しかし今日については既に自室にその体を移している。
昨日、夜遅くまで作業をしていたことは武田と清水にすぐにバレ、
今日は早々に食堂を追い出されたのだ。
2人が美月ひとりに無理をさせるわけがなかったのである。
というわけで、美月は昨夜の失敗を活かし
早めに風呂に向かうことにした。
パジャマとタオルをビニールのショッピングバッグに詰め、部屋を出る。
風呂に向かう道、角を曲がればもう風呂へはあと少し、というところで
美月の足が止まる。
(だ、だめだ…やっぱり怖い!!)
目の前にあるのは昨夜と変わらぬ薄暗い廊下。
昨夜は時間が深夜近かったことで恐怖がかさましされたのだろうと思っていたが、
早めに来ようとも暗い廊下は得体が知れず…。
怖さは昨夜と大して変わらなかった。
(なんのための蛍光灯なわけ!なんでこんなに暗いの!役割果たして!?)
蛍光灯にキレていても仕方がない。
しばらく暗い廊下との無言の戦いを繰り広げたが、
やがて美月は諦めたように来た道を戻る。
(こうなったら翔ちゃん呼ぼう…この時間ならまだ、広間に行ってもいいよね?)
“男子部屋に行く”という事実にびびりながらも、
やむをえないことと自分を奮い立たせた。