第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
くるくると忙しなく動く美月を、菅原はドリンクを飲みながら見つめていた。
「健気だな~、河北さん…じゃなくてー…、美月ちゃん?」
わ~名前呼びとかこそばゆいな~と照れる菅原に、同じようにドリンクを隣で飲んでいた澤村が問う。
「健気?」
「うん。だって今朝、大地にあんなふうに喝入れられたから
部員と話すの頑張ってんでしょ」
菅原は澤村へ、にやりとした笑みを向けた。
「はぁ?喝なんて入れた覚え…」
「まぁ大地はそんな気無いだろうけどさ、
美月ちゃんからしたら十分、喝になるんだよ」
言い切られてしまい、澤村は美月に目を向けた。
ドリンクを配り終えた美月は体育館の端で清水と何か話している様子。
(俺の今朝の発言で、河北さんが無理してる…?)
部員と仲良くしてもらえるのは嬉しいが、無理をさせたいわけではない。
澤村は不安になり、美月と清水が話すそばまでやってきた。
「河北さん、ちょっといいか…?」
深刻そうな顔をする澤村に、空気を読んだ清水はその場を離れてくれた。
残された美月は説教でも始まるのかと身を縮める。
澤村が口を開けたのと同時に目をギュッとつむった。