第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
「皆の様子が変なの、俺のせいでもあるんだ。
昨日、俺がけしかけたから」
「澤村さんが…?」
「あぁ。マネージャーと部員の連携がとれてないのはまずいからさ、
仲良くするようにって。怖がらせてごめんな」
澤村としては何気なく言った一言。
けれども、
『連携がとれてないのはまずい』
その言葉は美月の頭に鈍く響いた。
皆の力になりたいと思って入部したはずが、思わぬ負担をかけてしまっていたなんて…。
「ごめんなさい、私。
皆さんに気を遣わせてしまって…」
先ほどの東峰のように肩を落とす美月を、澤村はキョトンと見つめる。
澤村は視線を上に運び少し思案してから美月に向き直った。
「…気、遣うっていうか
俺らが勝手に河北さんを気遣いたいって思ってるだけだからさ。
だからそこはがっつり甘えてもらって、徐々に仲良くなっていってくれればーって思う。
そういうわけだから、ゆっくり慣れてってくれな?」
そう言いながら、澤村は美月の頭をくしゃっと撫でた。
初めて触れられた大きな手は、
不思議と安心する心地にさせてくれた。
「大地ー、早く席つかないと皆食えないんですけどー?」
菅原さんの声で周りを見ると、既に皆は席についていて
ご飯の“待て”状態をくらっていた。
どんなにお腹が空いていても、
主将が席につかなければ食べ始められない。
皆のジト目を受けて、澤村と美月は慌てて席についたのだった。