第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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明くる日の朝、食堂に続々と部員が現れる。
朝食の準備をしていた美月はそんな部員たちを迎えるのだが…
「おはよう美月!今日もいい天気だな!」
「おはようございます、西谷先輩。晴れてますね~」
「おはよう美月!今日もいい天気だね!」
「あ、はい!お、おはようございます縁下さ」
「おはよう美月!!今日もいい天気だなっ!!」
「…おはようございます、田中さん」
(2年の先輩方が…変!!!)
同じセリフ、同じ貼り付けたような眩しい笑顔で挨拶をしてくる2年組。
何事かと怯えていると、後ろにヌッと影が差す。
「あ、の。おはよう…」
「ひぇっ!?」
背後からの声に振り向くと東峰がひきつった笑顔で立っていた。
美月は突然後ろに現れた巨体に思わず声を上げてしまう。
「ごっ、ごめん!驚かせるつもりはなかったんだけど…っ!?」
怯えた様子の美月を見て、東峰はショックを受けた。
彼は彼なりに考え、美月を怖がらせないようにとゆっくり近寄ったのだろう。
「旭~、そんな風に現れたら逆効果に決まってんべ」
様子を見ていた菅原が東峰の肩にぽんっと手を置いて言った。
東峰はすっかり気落ちしてしまっている。
隣にいた澤村は、そんな東峰にため息をついた。
そして美月に向き直ると、右手を顔の前に立て
悪い、と謝った。