第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
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切った野菜たちを冷蔵庫にしまい、1つ大きく伸びをする。
(これだけ準備しとけば、明日は楽になるはず…!
その分、先生も清水先輩も他の作業に手を回せるよね!)
美月は一仕事終えた満足感に笑みを浮かべた。
自室に戻るためエプロンを外し、畳もうとした際、
自分の指に巻かれた絆創膏が目に入る。
先ほど月島といた時にケガしたものだ。
(さっきの月島くん、変だったな
いつも意地悪なことばっか言っていじめてくるのに
さっきは…心配してくれたみたいだった)
月島の言動、彼と近い距離で喋っていたことを思い出すと、
美月の顔は赤くなってしまう。
彼の珍しい姿は美月にとって嬉しくもあり、心臓に悪くもあった。
記憶を振り払うように頭を左右にぶんぶん振る。
ふと時計を見ると23時近い。急に現実に引き戻された。
野菜の準備に夢中だった美月はまだ風呂を済ませていない。
急いで廊下に出ると、そこは頼りない照明がぼんやりと浮かぶだけの空間。
(うそ…なんでこんな暗いの?)
美月はこの暗さの中、一人で風呂に行き、
一人で部屋に戻って寝なければならない。
清水がいないということの恐ろしさをこの時になって痛感した。