第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
美月はむすっとして俯くと、作業を続けた。
「武田先生は練習試合してくれる学校探してたりするし、
先生としてのお仕事もある。
清水先輩は私にはまだできないマネージャーの仕事たくさんしてくれてる。
二人とも忙しいから、私は私ができることして皆の力になりたいって思うの」
皮をむく手は止めずに、美月は月島に語った。
(…ここには熱い奴しかいないわけ?
ただの部活に、こんな真剣になるなんてバカらしい)
月島は真剣な美月の姿を見ていられず、目をそらしたが
「ぃたっ」
すぐにその目を彼女へ戻すこととなる。
美月は手にしていた包丁とじゃがいもをまな板の上に置き、
左の親指に赤いしずくを乗せていた。
「ッ!なにしてんの!」
「えっ」
月島は美月の腕を引き、流し台に連れて行くと
怪我した所を水で流した。
「ご、ごめんなさい、怪我した手で料理なんてされちゃ、汚くてやだよね」
「っそうじゃなくて…!」