第2章 たった1人でのゴールデンウィーク合宿
「そっ、そんなこと言われても…!!
あいつは昔からあんなだし…
たぶん、仲良くなったら誰に対してもあーゆー感じです…」
「今のところそんな気配ないけどなぁ…?」
美月がマネージャーになってから約一週間。
いまだに目を合わせてもらえぬままで
タオルを渡される縁下が首を傾げた。
「んー、あいつ俺より体大きい奴は苦手だから…」
「お?だから俺には普通なのか?」
円になった皆の視線が日向から西谷に移る。
「そういえば西谷とは普通に話してるよなぁ」
縁下は練習中、美月が西谷と普通に世間話している姿を
何度か見ていた。
しかし、頷く縁下を田中が制す。
「いや待て縁下!納得するのはまだ早い!
俺は知っている…
もう一人例外がいることを!!!」
田中は突然立ち上がるとくるっと方向転換し、人差し指をその人物につきつけた。
「…なんですか」
「月島コノヤロー!!
テメーがよくちょっかいかけては美月とイチャついてんの、
こっちは知ってんだよバカヤロー!!」
ちょっと涙目になりつつ叫ぶ田中だが、
月島は はぁ?と相手にしていない。
田中の言うとおり、月島は練習中に隙を見ては美月にちょっかいをかけている。
美月の地雷である日向イジリは効果抜群で、
月島はムキになる美月の反応を楽しんでいるようだ。
「たっ、田中さん落ち着いてください!
月島は俺をネタにして美月と話してるだけです!」
そのまま殴り掛かりそうな田中を止めるため日向が放った言葉は
月島に効いた。
「…。飲み物買ってきます」
月島は誰とも目を合わせずそう呟くと、騒がしい大広間を出て行った。
後ろで聞こえた山口の呼ぶ声も無視して。