第1章 烏野高校バレー部、始まる
「澤村さんっ!」
もうずっと、試合の途中から言いたくて言いたくてたまらなかった言葉を伝える。
「私っ、バレー部のマネージャー希望します!!」
なんだなんだ?と片づけに取り掛かろうとしていた部員がこちらを振り向く。
「おっ、おう…今の試合で興味持ってくれたのか?」
「はいっ。試合見てて確信しました。私、皆さんのバレーを見ていたい。
できることは少ないかもしれないけれど、皆さんの力になりたいです」
町内会チームとの試合では今まで見たこともないような重いスパイクを間近にした。
チームメイト同士がお互いを鼓舞する姿に胸を打たれた。
彼らの姿を見て、改めて美月は想いを募らせたのだった。
緊張しながらも美月は真っ直ぐに澤村の目を見つめる。
「いいじゃねーか美月!その意気だ!」
「西谷先輩…」
ニカッと笑う西谷。西谷の笑顔を見ると少し緊張が和らいだ。
そんな美月の横顔を見て澤村はふっと息をこぼす。
気付いて美月が澤村に向き直ると
「俺らに興味持ってくれてありがとな。歓迎するぞ!」
これまたニカッと笑う澤村が目の前にいた。
澤村は身を翻しこちらを見ていた部員たちに向けて言い放つ。
「皆!!河北さんが正式にマネージャーになってくれるそうだ!挨拶!!」
(えっ!?そこは後輩の私が挨拶する方では…!)
「「「「「「宜しくお願いしぁーーーーーっす!!!」」」」」」
部員全員が自分に向かって頭を下げるその様子は美月にとって恐怖だったが、
部に迎え入れてもらえたことが何よりも嬉しかった。
「こっ、こちらこそ!宜しくお願いしますっ!!!」
美月は勢いよく頭を下げた。
これから美月のマネージャーとしての日々が始まるのである。