第4章 インターハイ、秘密の応援策
伊達工との挨拶を終えた部員たちが観客席の方へ近づいてきたので
道宮が声をかける。
「澤村、菅原、東峰!二回戦突破おめでとうっ」
「道宮!通りで女子の声が多いと思った」
「気づかなかったのかよお前…」
澤村の天然発言に菅原が突っ込む。
「「アヤせんぱぁーいっ!!」」
田中・西谷はお気に入りの先輩がいるのか、観客席にラブコールを向けた。
「東峰さん、西谷先輩っ」
美月が声をかける。
「試合、かっこよかったです」
はにかむ美月に見つめられ、東峰と西谷は頬を染めた。
「っや、俺は別に…皆のおかげで…」
「当たり前だろ!明日も決めてやるから見てろよーっ」
正反対の反応をする二人が微笑ましくて、美月はつい笑ってしまった。
観客席への挨拶を済ませると、荷物を片付けコートを出る。
烏野の今日の試合は二回戦までで終了。第三試合は明日だ。
しかし、まだ会場を後にはしない。
「「「きゃぁあっ及川さーんっ」」」
黄色い歓声が上がる先にいるのは、青城の及川。
「いまから青城の初戦…」
明日の相手を決める試合が始まる。
観客席に来た部員たちに、美月が二回戦勝利の激励をするのも束の間。
始まった青城の試合を皆で見届けた。