第4章 インターハイ、秘密の応援策
明日の相手校が青城に決まったところで、
烏野は会場を出た。
ミーティングをするため一度全員で学校へ戻る。
荷物を積み、武田先生の運転するキャビンに乗り込もうとした瞬間、
腕を引かれた。
「わっ、翔ちゃん…?」
「美月、隣座ってよ」
行きは清水が隣だった。
日向の隣は影山で、帰りも同じ席順と思っていたので驚く。
「どうしたの急に?」
「だって、今日あんまり話せてないし」
照れくさいのか日向は目を合わせようとしない。
普段の部活時に比べ、今日があまり話せていないのは確かだが、
それを理由に隣に座りたいというのは、甘えられているようで嬉しかった。
「うん、じゃあ隣に「美月ちゃんと話せてないのは皆同じじゃないかなー?」
重ねてきたのは菅原。
「むしろ日向は学校からの帰り道が一緒なわけだし、学校までの車中は遠慮してくれていいんだよ」
にこにこ爽やかな口ぶりだが、有無を言わせない気迫を日向は感じ取る。
「だったら俺も美月の隣が良い!」
元気よく手を上げる西谷。
「え?なに?立候補制?じゃぁ俺もっ!」
便乗する田中。
「話がややこしくなるから立候補はやめてほしいなー」
笑顔を崩さず迷惑を訴える菅原。
「どこに座るか君が選んだ方が良いんじゃない?」
「月島君、無茶言わないで…」
なぜか席の奪い合いになってしまい、美月は困惑する。
この状況の原因を考え、ふと思い立った。