第1章 烏野高校バレー部、始まる
「に、西谷先輩っ」
美月が思い切って言うと西谷は肩から手を外し、くぅううっと喜びに拳を突き上げた。
「よぉーっし!可愛い可愛い後輩よ!これからも俺のことは西谷先輩と呼んでくれ!」
「は、はぁ…」
飛び上がって喜ぶ西谷にびっくりはしたものの、他の部員と違って怖いとは感じなかった。
(やっぱり私、翔ちゃんくらいの体格の人なら怖くないみたい?)
ドタバタで始まった部活見学だが、その後は清水の手伝いをしながら何事もなく過ごした。
そんな中、体育館の扉が開かれ顧問の武田先生がコーチになるという人を連れてきた。
烏養という名にざわめく部員たち。
ざわめきについていけない美月には、
清水がそっとその名の持つ意味を説明してくれた。