第1章 烏野高校バレー部、始まる
…え?
「おい見ろ龍!潔子さんと彼女が並ぶ姿!なんと美しい光景!」
「ッ…分かる!分かるぜノヤッさぁあああん」
2人は涙を流しながら肩を抱き合っていた。
美月はその様子についていけない。
「驚かせてごめんね美月ちゃん…彼、西谷夕っていって、うちのリベロなの」
「リベロ…こないだまではいなかったですよね?」
清水は騒ぐ2人に動じず、西谷が色々な事情で停学になっていたことなどを教えてくれた。
そして田中と西谷の騒ぎっぷりについては無視するのが一番だということも。
(でも先輩だし、挨拶はしといた方がいいよね?)
清水に断り、相変わらず涙を流す2人に近寄った。
「初めまして、河北美月です。
まだ部員じゃないんですけど、練習見学させてもらうことになりました。
…ので、これから宜しくお願いします。西谷先輩」
時が止まったかのように動かなくなった西谷。
美月が首を傾げると、西谷はフラッと体を揺らし美月に向き直る。
そして
「うおおおおおおおお」
雄たけびをあげて美月の両肩に手をのせた。
「ひえっ!!!???」
「っもう一回言ってくれ!!」
「え、宜しくお願いします…?」
「ちがう!!」
助けを求めて横を向くと、日向が口パクで伝えてくれた。
『ニ・シ・ノ・ヤ・セ・ン・パ・イ!』