第4章 インターハイ、秘密の応援策
「えっ、なに今の」
「速攻!?」
「あれって1年生だよね…?」
「あの小さい子すごい飛ばなかった?!」
口々に驚きの声を漏らす女バレの先輩方。
その様子を見て隣の町内会チーム、滝ノ上は得意気に鼻を鳴らした。
「お前がドヤ顔すんな」と嶋田がツッコむ。
「すごい…」
道宮の口からも、自然と言葉が出ていた。
鉄壁に阻まれたスパイクも、西谷が拾い次に繋げる。
日向の囮に囚われた伊達工の壁は、エースの前で開かれた。
「よし!!」
気持ちよく決まった東峰のスパイクに、美月はガッツポーズ。
「なんか意外…」
呟きは道宮の口から出ていた。
なんのことかと横を向けば、美月は道宮にじっと見つめられていた。
「先輩??」
「…っや、ごめん!ガッツポーズなんてするんだなって!大人しいイメージがあったから」
慌てる道宮を見て、美月は道宮と初めて会った時のことを思い出す。
「あの時は、3年生だらけの廊下に行って緊張していて…」
照れる美月に同情し、道宮は笑いかけた。
「あー…、そりゃ緊張するよね」
俯きがちな横顔は可憐で、ついつい見とれてしまう。
(澤村は、美月ちゃんのどんなところに惹かれたんだろう。
素直なところ?一生懸命なところ?それとも女の子らしいところ?)
“好きな人の好きな人”である美月の存在を、気にせずにはいられなかった。