第4章 インターハイ、秘密の応援策
走ってきた二人は美月と目を合わせる。
「ん…?あ!バレー部のマネージャーちゃん!」
美月の顔を見て2人もすぐ思い出してくれたらしく、
どうもーと挨拶を交わす。
以前烏養が練習相手として連れてきた、
烏野町内会のバレーボールチームメンバーだ。
あの時は練習試合ありがとうございました、なんて話をしていると
またもドタドタと観覧席を走る足音が、今度は高い声とともにやって来た。
「早く早く!よかったぁ男子の二回戦まだやってる!」
「すごいっ伊達工に勝ってる!」
「み、道宮先輩…?」
町内会チームの二人、嶋田・滝ノ上に断りを入れ、
やって来た女子バレー部のメンバーの元へ。
「えっ、美月ちゃん!」
道宮は美月に声をかけられて目を丸くする。
「なんで美月ちゃんが観覧席に…って、
マネージャー入れるの1人だけだからか!ごめんっ」
「いえいえ!道宮先輩、応援来てくださったんですね、ありがとうございます!」
顔を知っている道宮がこうして応援に来てくれたことも、
周りに女子が増えたことも嬉しくて美月は喜ぶ。
「結、その子は?」
「男子バレー部のマネージャーやってる美月ちゃん!1年生!」
「よ、宜しくお願い致しますっ」
紹介を受けて一礼する。
「…うん、かわいい」
「よしよし、お姉さんたちと一緒に試合観戦しよう!」
(ひゃぁ~頭わしゃわしゃされてるっ)
3年のお姉さま方に囲まれ、美月は赤面。
「こいやぁあああっ!!」
コートからの叫びに女バレメンバーの視線が移ると、日向が変人速攻を決めていた。