第4章 インターハイ、秘密の応援策
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伊達工の応援は、試合前のアップの時間から会場内に響いていた。
観覧席へ戻った美月はビデオカメラのスイッチを押し、
すぐに手すりの前へ。
観覧席の手すりの下ではアップとしてレシーブ練が始まっていた。
「ンロォオオリングウサンダァァアア…アゲインッ!!!」
妙な技名でレシーブを決める西谷を見て、
美月はいつも通りだなぁと笑ってしまう。
「みんな前だけ見てけよ!背中は、俺が守ってやるぜ」
西谷の言葉に日向たちが「かっけー!」と悶絶しているが、美月も今の言葉には
胸がきゅっとなった。
「「整列!!」」
烏野・伊達工のキャプテン二人の声が響いた。
二試合目が始まる。
美月は伊達工に負けないよう精いっぱい声を上げた。
「からすのぉー!ふぁいとぉおお」
試合は烏野がリードしているが、エースの東峰が気持ちよくスパイクを打てていない。
そんな中、日向の変人速攻が決まる。
(わっ、久しぶりに出た…!)
隠し玉としてとっておいた変人速攻に、会場中がどよめく。
大きな歓声が上がって、美月は喜びに震えあがった。
2回目の変人速攻が決まると、伊達工は堪らずタイムアウトを取った。
タイムアウト中、皆が何を話しているのか美月には聞こえない。
観覧席とコートの中との差。
美月は西谷からもらったタオルを握った。
「遅ぇよ!試合終わってたらどうすんだよ!」
「だって、珍しくお客が来てて…っ!」
ドタドタと美月の隣へやって来たのは、見覚えのある顔。
「え…町内会チームの、皆さん…?」