第4章 インターハイ、秘密の応援策
(あ…試合後の挨拶)
「美月!どこ行ったのかと思ったらそんなとこ座ってたのか!!」
「ちゃんと試合見てくれたかー!?特に俺の強烈スパイク!!」
「こら西谷田中!まずは挨拶!」
澤村の注意を聞きながら、美月は田中にこくこく頷いた。
「ありがとうございましたァッ!」
「「「ありがとうございましたァッ!!」」」
澤村に続き皆が客席に向けて一礼する。
思わず美月も皆に一礼して、「なんか変」と笑われた。
「美月!!」
大きく名前を呼ばれて体が跳ねる。
声の主は、試合が終わってから表情の見えなかった日向だ。
観客席とコートで見つめあう。
真剣な表情の中に、勝利の喜びが滲んでいた。
「勝った!!次も…試合ができる!!」
「うん…っ」
「まだ、コートに立っていられる!!次も!!」
「うんっ」
彼の表情で、こちらにまで喜びが伝播する。
「チビちゃんと美月ちゃんてさ、どういう関係?」
「俺が知るかよ」
無視された形の及川と岩泉は気まずそうに立ち上がった。