第4章 インターハイ、秘密の応援策
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試合は烏野の流れだ。
「あっという間に1セット目取りそうですね」
「あのリベロ相当厄介だぞ。
それに、髭の兄ちゃんが入ったおかげで影山のトスも前より幅が出せてる」
及川は席に戻り座りながらの観戦をしているが、
相変わらず両隣では美月を挟み会話が交わされている。
最初こそ長身に挟まれる状況が怖くて仕方なかったが、
話を聞いていると烏野が褒められているような。
「そうなんですよっ!うちのリベロ、すごいんです!!
東峰さんも緊張さえしなければさすがはエースって感じで!」
にこにこ笑いかけられ、二人は顔を見合わせる。
「…あ、ごめんなさい会話に勝手に入って」
「いや別に」
「構わねーけど」
嫌な顔をされたわけでもなかったのでほっと一安心。
「さっきは態度悪くてすみません…。
私、烏野1年の河北美月って言います」
「いや、あれはうちの及川が悪ぃから。…3年、岩泉一だ」
「い、1年、金田一勇太郎…よろしく」
今更ながら挨拶すると、二人ともすんなり返してくれた。
それから3人並んで観戦を続ける。
「ブロックしっかりー!!ナイスー!!」
声を上げ続ける美月。
必死な横顔に隣の二人は引き付けられる。