第4章 インターハイ、秘密の応援策
「あぁ。アイツのことだよ。高さ勝負のミドルブロッカーにあれだもんな」
日向のことだと分かり、相手が油断しているなら作戦通りだと嬉しくなる。
「なめた奴は痛い目見ます」
美月を挟み岩ちゃんとは反対側に、黒髪をアップにしたツンツンヘアーの青城生が並ぶ。
彼の言葉で、そういえば烏野は一度青葉城西に勝っているんだと思い出した。
(あれ?というか私、いつの間にか挟まれてる?)
「はははっ、経験者は語る!」
「次は…絶対ねじ伏せて見せます」
(なんでこの人たち、私を挟んで会話してるの!?)
怖くなって席に戻ろうとするも、美月の隣の席には相変わらず及川が陣取っている。
偉そうに座る彼は、美月と目が合うとにっこり手を振ってきた。
(『喧嘩上等』って敵意向けてきた相手に、どういう心情!?)
今までに出会ったことの無いタイプで美月は混乱する。
天秤にかけ、美月は及川の隣の席へ戻らずこのまま立って応援を続けることにした。
試合に意識を戻す。
烏野はポイントを取り続ける。試合は順調だ。
そして、日向が飛ぶ。
「飛んだ…」
そんな声が、会場から聞こえた。
日向のスパイクが相手コートに落ちると、会場の空気が止まった。
いつの間にか、隣には目を輝かせた及川が立っていた。