第4章 インターハイ、秘密の応援策
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「集合!!整列!!」
澤村の堂々とした声が響く。
コートのラインに皆の足が揃う。
ホイッスルが鳴った。
「「「「「おねがいしぁーーーーーっす!!!!!」」」」」
(始まった…!)
開始と同時に伊達工の盛大な応援が始まり、会場内の音をさらう。
(すごい応援。伊達工と戦う相手は、アウェイな状況に追い込まれるんだ)
美月は隣のコートに一瞬目を奪われるも、視線を元に戻す。
大きく息を吸い込み、伊達工に負けじと声を上げた。
「っ烏野ファイトーー!!」
少しでも皆の近くへ行くため手すりに体重を預け、身を乗り出しながら応援する。
荷物やカメラを置いている自分の席はといえば、隣を及川が占領中。
美月が席に戻らない理由の一つである。
「はっはっは!相手戸惑ってんなぁ」
したり声の主は美月の隣で手すりに寄りかかり、試合を見物している。
及川に岩ちゃんと呼ばれていた人だ。
可愛いニックネームに反して、鋭い目と怒ったような眉毛が特徴的。
威圧感があって隣にいられるのは何だか怖いが、先程及川を引き離してくれた人でもある。
「戸惑ってる?」
ドキドキしながらも気になってつい質問すると、岩ちゃんと呼ばれる彼はニヤリと笑った。