第4章 インターハイ、秘密の応援策
(これ以上、青城に空気を乱されちゃ困る!)
意を決し、
美月は首にかけたタオルを掴む。
それから及川を見据えた。
「青城は強敵だって、聞いてます。
でもうちも強いですから!」
バサッとタオルを広げると、端を掴んで突き出す。
及川の目の前に『喧嘩上等』の文字が飛び込んできた。
「ぜっったい負けません!!」
威勢よく啖呵を切ったが、その手は震えていた。
及川は呆然。
「美月かっけぇええー!そのタオル欲しいーーー!!」
下から日向の声が上がる。
「無理しちゃって…」
「うわぁ1人で大丈夫かな」
月島は呆れ、菅原が心配する。
「よく言った!!タオル渡して正解だったな!」
「あのタオルノヤッさんのかよ!?かっけぇなちくしょう!!」
「及川一旦離れろ…」
岩ちゃんと呼ばれる男が及川の肩を掴んだ。
美月の手の震えに気付いたのだろう。
素直に席に戻る及川が呟いた。
「岩ちゃん…。この子“烏野のマネージャー”で有る無し関係ないや」
そう笑うのを見て、『岩ちゃん』は心底「めんどくせぇ」と思うのだった。