第4章 インターハイ、秘密の応援策
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「美月ーっ!!」
垂れ幕を観客席前のポールに結わえ付けていると、下から大きく名前を呼ばれた。
コートをのぞき込めば、日向がぶんぶん両腕を振っている。
部員の皆も集まっていて、こちらに目を向けてくれた。
これから練習に入るんだろうか。
『飛べ』の垂れ幕を捉えた部員たちの表情は、気合に満ちていた。
ブーーーブーーーー
「わ!?」
ポケットに入れていたスマホが振動し、驚きに体が跳ねる。
別行動をとる美月は監督や先生と連絡が取れるよう、スマホを持っておくように言われていた。
「どうかしましたか?」
垂れ幕を吊るし終えた先生が美月に声をかける。
「それが、母から電話が来てまして…」
スマホの画面に表示されたのは母。
今日が大会なのは知っているはずだが、一体何の用件か見当がつかない。
「ここは周りがうるさいですし、電話なら一度会場を出た方が良いと思いますよ!」
「そうですよね…!ちょっと行ってきます!武田先生は皆のところに戻っていてください!」
美月は小走りで会場出口へ向かう。
電話はしばらくコールしていたが、エントランスに着くころには切れてしまった。