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【ハイキュー原作沿い逆ハー】空飛ぶカラス

第4章 インターハイ、秘密の応援策



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「そろそろアップとるぞ!」

試合前の練習をするため、烏野もアリーナに入る。
澤村の合図で部員たちが荷物を手に取った。
美月はここから皆と別行動だ。


「皆さん行ってらっしゃい!観客席から応援してますっ」

両手の拳を胸の前でぎゅっと握り、エールを伝える。


「おー!!」
「任せとけっ」
「応援頼んだ!」


それぞれ応えてくれるのが嬉しい。
皆の足元にはミサンガがしっかり巻かれていた。


「垂れ幕吊るすのは一人じゃ大変ですから、僕も一緒に行きますね」
「ありがとうございます!」


武田先生が垂れ幕の入った布袋を持つ。
観客席に着いたらまずすることは応援の垂れ幕を吊るすこと。
すでに会場内には各校の垂れ幕が競り合うように吊るされており、にぎやかさに拍車をかけていた。


「待て美月!」


皆に背を向けた瞬間、西谷に呼び止められる。


「西谷先輩?」
「これ持っとけ」


渡されたのはオレンジのロングタオル。
意図が分からず西谷を見ると、ニッと歯を見せる。


「俺らはミサンガもらったけど、お前はなんも持ってなくて一人観客席なんて
寂しいだろ?それやるから持っとけ!」


言うだけ言うと、じゃ!と皆のところに戻ってしまった。


「西谷先輩…」


そういえば皆のことで頭がいっぱいで、自分用のミサンガなんて作って無かった。
観客席に一人でいるとき、皆と近くにいることを感じられるものが自分にはない。
それは確かに寂しかったかもしれない。

無地だと思ったタオルを広げてみると、達筆な黒字で『喧嘩上等』と大きくプリントされていた。


(言葉のチョイス…ッ!!)


四字熟語も西谷らしいが、
これを女子宛にと考えるのもさらに西谷らしい。

それでもやはり、自分のことを考えてくれた彼の気持ちが嬉しくてたまらなかった。


「良いプレゼントですね」


武田先生がほほ笑む。


「はい!」


美月は早速タオルを首にかけ、
気合十分観客席へと向かった。


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