第4章 インターハイ、秘密の応援策
聞き捨てならない言葉に問い詰めようとするも、
アリーナに到着してしまった。
「会場でけぇーっ!!」
日向が隣で叫ぶ。
県代表決定の大会だけあって確かに会場は大きく、興奮するのも無理はない。
「エアーサロンパスの匂い…っ」
「なに言ってんだお前」
日向の謎のつぶやきを影山は一蹴。
しかし日向は感動しきりだ。
「この匂いって、“大会”って感じすんだよ!」
「わかる!!」
西谷が同意し盛り上がる二人。
そんな中、背後でざわめきが起こる。
振り返ると、『伊達工』という字が入ったジャージの男子たちが
こちらに向かって来ていた。
「でけー…」
「伊達工業だ…!」
ひそひそと噂されてる様子から、有名校なのだろう。
伊達工の面々は烏野の前で立ち止まった。
美月は目の前にいた影山のジャージをキュッと掴む。
「?」
影山は掴まれた場所を見るも美月の行動の意味が分からず、気に留めなかった。
(大きい無理怖すぎる)
影山の背中に隠れるよう身を縮める。
立ち止まった伊達工と向き合い数秒。
伊達工の中でも一段と体格が良く、強面の男子がおもむろにこちらへ指を差してきた。
差された指の先にいるのは東峰。
言葉を発するでもなく、ただ向けられる指は不快な気分にさせられる。
「…なんだテメェ」
睨む西谷を東峰が制す。
すると、廊下の奥から慌てた様子で駆け寄ってくる伊達工生が一人。
「ちょちょちょっ、ちょいちょい!やめなさいっ」