第4章 インターハイ、秘密の応援策
「すいませ…?」
謝罪とともに隣を見やる。
先ほどまで誰も居なかったはずの隣だが、そこにはいつの間にか月島がいた。
しかも、距離が、近い。
「月島くん、ちょっと!なっ…、歩きづらい!」
何度も肩がぶつかり、よろけた美月は日向にもぶつかってしまう。
「おい月島!美月にくっつきすぎ!」
怒る日向に月島はため息をつく。
「君たち気付いてないんだね」
「「え??」」
「さっきから美月、他校の男子にすごい見られてるよ」
「…へ?」
見られているのは清水のはず。
何を言っているんだろうと月島の陰から顔を出すと、
「っ!!」
確かに、多数の男子と目が合った。慌てて目をそらす。
「わ、私、何か変なことしたのかな…っ」
肩にかけているバッグの紐を、ぎゅっと両手で握る。
「…違うでしょ」
「そーだよ!美月じゃなくて、多分あれ俺たち烏野を見てるんだって!
ライバル視されてるってすげぇーっ」
「それも違うから」
バッサリ切ると、無垢な2人に「じゃぁ、なんで?」と見つめられた。
(この人たち…。
美月が人より良い見た目してるって、分かってないわけ?)
男子からの下心がこもった視線を受けないよう、
壁になりにきた月島。
しかし当の本人がこれでは心配が尽きない。
「自覚ないとかメンドクサ」
「ん、今めんどくさいって言った?」