第4章 インターハイ、秘密の応援策
「なっ!なんで翔ちゃんが照れるの!?自分から聞いたのに!」
「そんなにいろいろ言われると思わないじゃん!
つか、太陽みたいなのは美月だろ!」
「えっ…えぇ!?」
話が自分に向いて、美月は頭の整理が追いつかない。
「周りにいる皆を明るくさせるとか、笑った顔とか、真っ直ぐな所って、
全部美月に当てはまるし…」
足を止め、2人して俯き照れ合った。
(翔ちゃんが変に照れるから、私まで恥ずかしいよ。
こんな風に照れたこと、今まで無かったのに)
「…明日の試合、ちょっと遠いな」
俯いたまま日向が言うので、美月も地面を見つめたまま。
“遠い”というのは美月がベンチに入れないことを指しているとすぐ理解する。
向き合う日向の足首が目に入った。
「その分、ミサンガ作ったんだよ」
「うん」
俯く日向の見ている先も、きっとミサンガだ。
試合中、自分の代わりに皆を守ってくれるよう願いを込め作った。
一呼吸置いて、日向が顔を上げる。
「明日、ちゃんと見てて。俺、勝つから」
幼馴染の彼は、すっかり男の子の顔をしていた。
「翔ちゃん…背、伸びた?」
「えっ!?嘘!!ほんとっ!?」
「ふふっ、どうでしょう~!早く帰ろ!明日寝坊できないっ」
分かりやすく喜ぶ日向に笑いながら、家へと急ぐ。
二人の帰る道には弾む声の余韻が残った。