第4章 インターハイ、秘密の応援策
「美月ちゃん、“アレ”渡さないと」
「はいっ」
隅に隠していた袋を取りに行く。
感動してもらっているところ申し訳ないが、サプライズはもう1つあるのだ。
大事なサプライズが詰まった袋をぎゅっと抱きしめた。
「あっ、あの、すみませんっ!!」
肩を抱き、泣き合っているような部員にも届くよう出来るだけ大きな声で呼びかける。
視線が自分に集まりドキドキと胸が鳴る。
「インハイに挑む皆さんに、私から贈りたいものがあって…」
部員たちは美月から更にプレゼントがあると聞きざわめく。
(皆に見られてるの、緊張…っいやいや!ちゃんと気持ち、伝えないと)
ゆっくり1つ深呼吸し、美月は続けた。
「インターハイ、私はベンチに入りません。
応援席から皆さんをバックアップします。
いつもよりちょっと遠いところですが、一緒に戦うっていう気持ちは同じです。
それを形に表したくて…試合中も皆の側にいるって感じられるように、これを」
布袋に入ったまま差し出され、中身を確認するために部員が美月の元へ集う。
美月を怖がらせないよう、少し距離をとりながら。
美月はおずおずと袋の中身を見せる。
「ベタだって、笑うかもしれないんですが…ミサンガです」
袋の中には色とりどりのミサンガ。
自分たちへの手作りの贈り物に、部員達は沸き上がった。