第4章 インターハイ、秘密の応援策
「掃除してたら見つけたから、美月ちゃんと一緒に綺麗にした」
どよめきの中でも清水の高く澄んだ声はよく通る。
それまで黙っていた田中・西谷がぷるぷると震え、限界を迎えたように叫んだ。
「うぉおおおお燃えてきたぁあああ」
「さっすが潔子さんっ!いい仕事するっス!!!」
「「よっしゃぁ!じゃぁ気合入れて…「まだだっ!!」
澤村が二人を制す。
「多分、まだ終わってない…!」
澤村は2階の2人を見つめ息を呑む。
つられて部員たちが頭上に注目すると、美月と清水がアイコンタクトをとり…
「「がんばれっ」」
息の合った二人の声が、静まり返った体育館にこだました。
再度、沈黙が流れる。
「美月ちゃん、降りよっ」
「あ、はいっ」
美月と清水が2階から降りようとした次の瞬間、
ぶわっ
三年、西谷、田中の目から大粒の涙が溢れた。否、飛び出た。
隣の一年がギョッとする。
「っ!!…ッこんなの初めてェッ!」
男泣きする澤村を見て、思わず影山は後ずさる。こんなにも取り乱すキャプテンは今まで見たことがない。
逆に普段騒がしい田中・西谷コンビはあまりの衝撃に言葉も発せず震えていた。
「だ、大成功、ですかね?」
「う、うん…」
梯子を下り、美月と清水は顔を見合わせ笑ってしまう。
こんなに喜んでもらえるなんて、期待していた以上の反応だった。