第4章 インターハイ、秘密の応援策
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「「「「おつかれしたぁーーッ!」」」」
部員の挨拶が気持ちよく体育館に響く。
インハイ前、最後の練習が終わった。
「今日は早く帰ってよく休めよー」
「「「「ハイッ!!」」」」」
「よし、じゃぁ今日はこれで…」
「あぁっ!ちょっと待って!」
烏養監督の締めを武田先生が遮った。
「もう1つ、いいかな?…マネージャー二人から」
武田先生から場を渡され、皆の視線が一斉に向けられる。
口を開いたのは清水。
「…激励とかそういうの、得意じゃないので」
チラリと清水から目配せを受け、頷く。
「先生、宜しくお願いします!」
「任せてっ!」
美月の呼びかけに武田先生はすいすいと体育館の梯子を登る。
美月も清水と一緒にその後を追う。
なんだなんだと下がざわつく中、畳んでいた垂れ幕を二階の通路で広げていった。
垂れ幕は大きく、広げるのも一苦労だ。
清水が一番奥、美月が真ん中、梯子から一番手前の位置に武田先生が付く。
「せーっの!!」
合図とともに、一気に下ろした。
『飛べ』
真っ黒な垂れ幕に、白で堂々と書かれたその二文字を見て部員たちがどよめく。
皆、目を丸くして驚いていた。