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【ハイキュー原作沿い逆ハー】空飛ぶカラス

第4章 インターハイ、秘密の応援策




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放課後練が始まる。

インターハイ初日前日とあって皆気合十分だ。
よく声が出てるし、動きも良い。

そんな彼らのボールを拾う美月は、合間合間に体育館の隅へと意識を飛ばしていた。

(荷物に紛れさせてるけど、大丈夫かな?ボールがあっちに飛んだらばれちゃったり…)


美月が気にしているのは言わずもがな、垂れ幕とミサンガのこと。
木を隠すなら森の中!という武田先生の助言で部活の荷物に交ざっているそれらが
何かの拍子に見つかってしまわないかハラハラする。


「うわっ!すっぱ抜けたっ」


木下の声が響いたのと同時に美月の頭上を大きく弧を描いたボールが飛んでいく。
ボールはすっぽりと荷物の塊に落っこちた。


「!!!」


(あああああそこには垂れ幕とミサンガがっ)


「くおおおおら木下ぁぁっ!!集中しろ集中っ!!!」
「はっ、はいいいいい」


烏養の檄が飛ぶのを後ろに聞きながら、美月はボールの元へ向かう。
しかしその横を軽々と影が走り抜いてきた。

美月の先を越した人物――田中は荷物に埋まったボールへ手を伸ばす。


「だっ、だめっ!!」


思わず出た声だったが、田中は手を止めてくれた。
ボールに伸ばした田中の右手は行き場を無くす。

「な、なんだぁ?俺は美月の負担を少しでも減らそうと…」
「いえっ!これは私の仕事なので手出し無用ですっ!
それに今は、1分1秒であっても大切な時間ですから!自分の練習に充ててくださいっ」

拾い上げたボールをぎゅっと胸に抱いて言う。秘密がばれないよう必死だった。
一方、いたく感動した様子の田中は目を潤ませる。


「くっ…!美月、お前そこまで俺のことを…っ」

「や、別に田中さんを特別扱いしてるわけではありませんが…」

「お前の気持ち、しっかり受け取ったぜ!この俺の超かっけぇスパイク!見ててくれよっ!!」

ダッシュで練習の列へ戻った田中にホッと一息。
垂れ幕に触られることはなんとか防げた。

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