第1章 烏野高校バレー部、始まる
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「あっ!美月―!」
購買に来た美月の姿を見つけ、日向はすぐに駆け寄ってきた。
「お前もなんか買いに来たの?」
「や、翔ちゃんさがしに来たんだけどさ…」
俺?と首をかしげる日向。
「影山くんて、いい人だね」
「うん…?はぁっ!?」
突拍子もない美月の発言に、
日向はどうしたの!?何があったの!?と大騒ぎ。
そんな日向の様子には慣れっこなようで、
美月は大して意に介さず腕を組む。
「私が翔ちゃんのこと“翔ちゃん”って呼ぶの、気にしなかったし…
バレー見に来ていいって言ってくれたし…」
良い人だなぁと頷きながら呟く美月を見て
日向は眉をひそめた。
「えー?そんなの澤村さんたちだってそうだと思うけど…
ていうか美月、男子と話すの苦手じゃん!よくあんな怖い顔の奴と話せたね」
「え、話せてないよ」
緊張で片言な日本語だった先ほどの会話を思い出しながら美月が返す。
美月は男子と話すのが得意ではない。
日向より体の大きい人に対しては妙に構えてしまう。
月島に対しては日向をチビと呼ばれた因縁もあり、普通に話すようになったが。
(男の人は苦手…。だけど、影山君は翔ちゃんと良いコンビだったし、
怖いよりも前に話したいって思っちゃったんだよね…)
「と、とにかく今日こそは見学行くから!HR終わったら一緒に行ってほしいの」
「んー、よく分かんねぇけど、やっと見に来てくれるんだ!よしっ」
放課後に待ち合わせをする約束をし、
バレー部について話しながら、美月と日向は教室へと戻っていった。