第4章 インターハイ、秘密の応援策
「…上手い言葉が見つかんねぇ」
「はぁ?」
「美月は、かわいい後輩だ。俺のこと先輩って呼んで来て、一生懸命でいい子だ」
「…え、ただの自慢?」
部活禁止の処分が明けて、戻った時に美月はいた。
女子マネが入ってくれたことに俺は歓喜した。
男が苦手だとか翔陽から聞いたが俺には最初からそんなにびびってなかったし、
気が利いてよく動いて、笑った顔が超かわいい奴だ。
美月がマネージャーになってくれてから、バレー部は一層明るくなった気がする。
そんな彼女だから、大切で可愛い後輩だから、
外見の可愛さだけ見て紹介してくれ、なんて言ってくる奴に良い返事は出来ないんだ。
ようやく考えがまとまった西谷はすっきりした顔を見せる。
「とにかくお前に美月は紹介できねーってことだ!」
ニカッと笑われたが、クラスメートは腑に落ちない。
西谷に更に詰め寄ろうとしたところ―、
「お前ら…俺の呼び出しにも応えず、なに話に花咲かせてんだ…?」
その背後に真っ黒なオーラを見てしまった。
がたがたと震え始めた目の前のクラスメートを見て、西谷はゆっくりと後ろを振り向く。
鬼の形相を捉えた西谷は、勢い良くそして姿勢良く上半身を折った。
「先生ッ、お待たせしましたァッ!!!」