第4章 インターハイ、秘密の応援策
「…え?なに、その顔」
西谷は眉間に皺を寄せ、小さく開けた口をへの字に曲げていた。
苦虫を噛み潰したような表情。
さらっと言われた発言に、なぜだか体が拒否反応を示したのだ。
「悪ぃ。超嫌だ」
そのままの顔で断る西谷。
「や、言われんでもそれは今の顔で分かったけど…お前は清水先輩が好きなんじゃねーの?」
言われて西谷は「うっ」と喉を詰まらす。
「きっ、潔子さんは好きとかそういうレベルじゃねぇんだよ!神の域なんだかんな!」
「はぁ?じゃぁノヤはあの1年ちゃんのことが好きってこと?」
廊下の真ん中にしてぴたりと止まる西谷。
周りの生徒たちは彼らの話の内容なんて興味無く、それぞれの目的地へ向かう。
「…?なんか言い返さねぇの?」
不審に思って顔を覗くクラスメート。
西谷は口を開けたまま、目を見開いたままの状態だった。