第4章 インターハイ、秘密の応援策
――――――――――――――――――――――――――――――――
HR中盤から荷物を片付け始め、先生の「じゃ、さよならー」の声と同時に荷物を肩にかけた。
「皆またね!」
「えっ!美月はやっ」
驚いた友人に手を振り教室を出る。
向かう先は清水の教室。
2人で武田先生に会いに行くため待ち合わせをしているのだ。
とは言え向こうもHRが終わらなければ職員室には行けない。
それなのにこんなにも急いでしまうのは気持ちが先走っているから。
(早く垂れ幕のこと、ばらしたいっ!
あ~今日の部活、すごく長く感じそう…っ)
顔にすぐ出るタイプの美月は隠し事自体苦手だ。
ここ数日間で、朝早く出る言い訳を日向にした時や部活中眠気に負けそうになっているのを突っ込まれた時など何度全てバラしたい衝動に襲われたことか。
ミサンガをコツコツ作っていた時は皆に秘密にしている、という感覚が無かったのに対し
垂れ幕は清水と共同の正真正銘サプライズ。
早くヒミツを打ち明けたい。皆の驚く顔が見たい。
そんな想いを胸に美月は階段を駆け上がる。
「美月?」
突如声をかけられ、階段途中で足を止める。
息を切らしながら振り返ると、階段の踊り場から西谷が自分を見上げていた。