第4章 インターハイ、秘密の応援策
――――――――――――――――――――――――――――――――
「おいっ、どこまで行くんだよ!」
教室に帰るわけでもなく、ただひたすら真っ直ぐ歩いてきた美月に
さすがにしびれを切らした影山。
「…っあ!ごめんっ」
美月はようやく足を止め、影山の袖から手を離した。
「なんかもうこっちが恥ずかしくなっちゃって、とにかくあの場から逃げたくて」
「それは俺も同意見」
言いながら影山は引っ張られてしわの寄ったシャツを叩いて伸ばす。
(影山君は…ああいう人前でべたべたするような付き合い方しなそうだなぁ
・・・私は、どうなんだろう)
恋愛ものの漫画やドラマは普通に好きだ。
友達の素敵な恋の話を聞くのも幸せな気分になれる。
現にこの間、月島の恋心に気付いた時には自分までドキドキと胸が高鳴ってしまった。
しかし、そう思う一方でどこかその独特の空気に追いつけない自分がいて。
自分に彼氏ができたら、なんていう想像が上手く出来ない。
好きな異性というと真っ先に思い浮かぶのは翔ちゃんのこと。
だけど、翔ちゃんに抱く気持ちと、
さっきのようなカップルの雰囲気はまた違うように思える。
男子バレー部のマネージャーになってから、
男の人と話す機会も増えたし、どきっとするようなこともあったりした。
それでも―…、
(私にはまだ分からない・・・でも周りはどんどんその話題で溢れていってて、
私は1人で置いてかれる…)