第4章 インターハイ、秘密の応援策
「も~!りょうくんてばなんでわざわざここの自販機で買うのー?
他のとこも同じじゃんっ」
「やー、だってここだと人少ないからいちゃいちゃでき…」
虚空に消えた“りょうくん”の声。
腕を組みびったりとひっついたカップルは、自販機の先客である二人と目を合わせ瞬きする。
沈黙を破ったのは彼女の方だった。
「やだもー私たち二人だけの世界すぎじゃない?恥ずかしい~っ」
意味不明なセリフとともに、更に彼にべったりくっついた彼女。
恥ずかしいと言いつつその表情はとても嬉しそうだった。
「っ…行こう、影山君」
美月は影山の袖を引っ張り、俯きがちにその場を離れた。