第4章 インターハイ、秘密の応援策
――――――――――――――――――――――――――――――――
校舎と校舎を繋ぐ屋根の下、外にあるせいかここの自販機は人気が無い。
美月は迷うことなく商品を選び購入ボタンを押した。
「はいどうぞ」
「…なんで分かるんだよ」
どうやら美月の予想は的中したらしい。
差し出された飲み物―ぐんぐん牛乳を素直に受け取る影山に、
美月は頬を緩める。
一方影山はしかめっ面のまま紙パックにストローをさした。
美月も飲み物を買おうと商品を選ぶが、ふと気になることがあった。
「影山君って、いつも誰とお昼食べてるの?」
「あ?1人で食ってるけど」
ガゴンッ
受け取り口に落ちて来た飲み物も取らず、
返ってきた返事に美月は口を開けて驚いてしまう。
なんとなく一匹狼タイプな気はしていたが、
彼の周りには部活中、
喧嘩相手の日向や、からかいながらも世話焼きな先輩方がいて―、
部活中の彼を見ているからか、“1人”というのが想像し難かった。
(影山君の友達事情とか、聞いたことなかったけど…変な感じ)
その場で牛乳を飲み始めた彼を見て、自分も慌てて飲み物を取り出す。
ぷすっとストローをさした瞬間、自分たちが来た扉から高く甘い声が届いた。