第4章 インターハイ、秘密の応援策
影山は人垣から離れた柱を指すと、するすると人だかりの中に消えていった。
わけもわからず、とりあえず柱の側に待機する美月。
数分も経たず、影山は美月の元に戻って来た。
「ん」
「…!」
差し出されたのはたまごとハムのサンドウィッチ。
美月が欲しかったものだ。
「コツがあんだよ、あーゆーのは」
影山は自分の狙いであったカレーパンを手に、
「じゃ」と踵を返した。
すかさず美月がその腕を掴む。
「待ってお金!いくら?」
「…それくらい別にいい」
「ダメ!」
「…」
しかりつけるような美月の態度に、影山はひるむ。
(俺、こいつのオカンモードほんと苦手…)
「…わかった。じゃぁパンおごった代わりに飲み物おごってくれ。それでいいか」
渋々妥協案を出すと、美月はパッと笑顔を見せた。
影山はこの笑顔も苦手だった。
「いいよ!なに飲みたいか当ててみようか!」
「…あたるかよ」
「ふふ、早く行こ!」