第4章 インターハイ、秘密の応援策
にやにやとされたが、美月の思考はそちらにいかない。
(今、月島君のこと王子様って…!)
女バレに所属する例の友達の発言に、美月は高揚する。
(これは脈ありというやつなのでは…!月島君!)
「どうしたの美月?嬉しそうだね」
「え?ふふふーまぁねぇ」
谷地に言われて美月は素直に答える。
すると、こつんと誰かに頭を小突かれた。
「人の噂すんなって、忘れたの?」
振り返った先にいたのは月島。
気のせいか、少し頬を染めていた。
「ごめん…」
謝ったものの全く相手にされず、月島はそのまま自席に着く。
美月達は顔を突き合わせ、月島に聞こえないよう小さくなった。
「どこから聞かれてたかな?」
「王子様、からだったら恥ずかしいわ…」
「自分の話って分かったくらいだから最初の方から聞いてたんじゃない?」
「ひーっ!今度から教室ではこういう話するのやめよ」
先生がやって来て、朝のホームルームが始まる。
隣の席の彼は、恋をしている。
美月は自分に無い経験をしている彼の隣で、
どうにも心がむずかゆくなってしまうのだった。