第1章 烏野高校バレー部、始まる
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『日向なら飲み物買いに購買に行ったよ』
日向のクラスメートに教わり、美月は購買を目指していた。
(翔ちゃん翔ちゃん翔ちゃん翔ちゃん…
…って、あれ?あの人ってたしかこの前セッターしてた…影山くんだ)
一階の渡り廊下近くにある自動販売機。その前に立つ姿には見覚えがあった。
先日の3対3で日向と同様に美月の視線を奪った人物。
彼の流れるようなトスは美月に強い印象を残していた。
「影山くん、だよね?」
「あ?」
まさに自販機の購入ボタンを押そうとしていた時に声をかけられ、
影山は気の抜けたような顔で振り返った。
「あ、ごめん!邪魔して…ひ、日向の幼馴染の者です」
バレー部全員に一度自己紹介はしてあるものの、
先輩達につかまっていた美月は影山とあまり話していなかった。
そのため、一応自己紹介をしておく。
「あぁ、ウス」
素っ気ない返事をしたあと改めて購入ボタンを押し
飲み物の紙パックを取り出す。
紙パックには『ぐんぐん牛乳』という文字とともにキリンが描かれていた。
「じゃ」
ぼーっとその様子を見ていたら、影山はそのまま踵を返してしまう。